会話でスッと理解
~「日銀って何してるの?」と「円高・円安、誰が得?」をまとめてスッキリ!~
前編では、
- 市場経済(需要・供給・均衡価格)
- 金融(間接金融・直接金融)
- 銀行の利益のしくみ
を、コンビニの期間限定スイーツや銀行の話から整理しました。
後編の今回は、
✅ 日本銀行(日銀)の3つの役割
✅ 買いオペ・売りオペで景気が動く理由
✅ 円高・円安で「誰が得するか・困るか」
を、ゆうと&あかりの会話で「イメージ → 理屈 → 入試で書ける形」まで一気につなげます。
① 日本銀行(日銀)と景気調整【最重要】
前編では、
- 銀行がどうやってお金を回しているか
- 金融の基本的な流れ
を整理しました。
ここからは、その お金の量をコントロールしている司令塔
日本銀行(日銀) の話に入ります。
👧あかり
「ここが公民で一番むずかしいけど、
一番点数につながるところだよ。」
日銀の3つの役割【まずは暗記】
まずは、日銀が何をしている機関なのかを整理しよう。
✅ 日銀の3つの役割
- 発券銀行:お札を発行する
- 政府の銀行:国のお金を管理する
- 銀行の銀行:銀行にお金を貸す
👦ゆうと
「“銀行の銀行”って、ちょっと不思議な言い方だね。」
👧あかり
「このあと、その意味がはっきり分かるよ。」
そもそも「景気」って何?
日銀の働きを理解するには、
まず 景気とは何か を整理する必要があります。
✅ 不景気(デフレ)
- モノが売れない
- 物価が下がる
- 給料も下がりやすい
✅ 好景気(インフレ)
- モノが売れすぎる
- 物価が上がる
- お金の価値が下がる
👧あかり
「日銀は、この“景気の波”が大きくなりすぎないように調整しているんだよ。」
こうした景気の変化に対して、
日銀が実際に行っている調整方法がある。
公開市場操作とは?【ここが本当の山場】
その調整方法が、
公開市場操作(こうかいしじょうそうさ) です。
👦ゆうと
「“買いオペ”“売りオペ”って覚えたけど、
正直、なんでそれで景気が変わるのか分からない…。」
👧あかり
「大丈夫。
ここは“お金の流れ”を一本の道として考えよう。」
① 大前提|銀行は「お金の分かれ道」
まず、いちばん大事な前提から。
👧あかり
「銀行って、何をしてるところ?」
👦ゆうと
「お金を会社に貸すところ。」
👧あかり
「そう。
世の中に出ていくお金(= 世の中で使われているお金)は、ほとんど銀行を通るんだ。」
👉 つまり…
- 銀行の金庫にお金が多い
→ たくさん貸せる
→ 世の中のお金が増える - 銀行の金庫にお金が少ない
→ 貸せない
→ 世の中のお金が減る
👧あかり
「ここが分かれば、オペの意味は一気に見えてくるよ。」
② 不景気のとき【買いオペ】はなぜ効く?
まずは、不景気のとき。
✅ 日銀がやっていること
- 日銀が → 銀行から国債を買う
- 代わりに → 現金を銀行に渡す
👦ゆうと
「国債って?」
👧あかり
「国が銀行から借りていた“借用書”みたいなものだよ。」
✅ その結果どうなる?
- 日銀が国債を買う
- 銀行の手元に現金が増える
- 銀行が企業にお金を貸しやすくなる
- 企業が設備投資・雇用を増やす
- 給料が出て、買い物が増える
- 景気が回り始める
👧あかり
「つまり買いオペは、
お金を世の中に流す操作 なんだ。」
👉 イメージ
🟢 お金を注入する
🟢 血液を送る感じ
③ 好景気のとき【売りオペ】はなぜブレーキになる?
👦ゆうと
「じゃあ売りオペは、その逆?」
👧あかり
「その通り。」
✅ 日銀がやること
- 日銀が → 銀行に国債を売る
- 銀行が → 現金を日銀に支払う
✅ 何が起こる?
- 銀行の手元のお金が減る
- 貸し出しを抑える
- 企業がお金を借りにくくなる
- 設備投資・雇用が減る
- 物価の上昇が落ち着く
👧あかり
「だから売りオペは、
世の中のお金を回収する操作 なんだ。」
👉 イメージ
🔴 お金を吸い上げる
🔴 ブレーキを踏む感じ
④ なぜ「みんなと逆の動き」をするの?
👦ゆうと
「でもさ、普通の人と真逆だよね?」
👧あかり
「そこが一番大事なポイント。」
🔻 普通の人
- 景気が悪い → 不安 → お金を使わない
- 景気が良い → 安心 → お金を使う
🔻 日銀
- 景気が悪い
→ お金を世の中に出す(買いオペ) - 景気が良い
→ お金を引っ込める(売りオペ)
👧あかり
「だから日銀は、
景気のアクセルとブレーキ なんだよ。」
★ 入試ワンポイント
- 不景気 → 買いオペ
(日銀が国債を買い、お金を増やす) - 好景気 → 売りオペ
(日銀が国債を売り、お金を減らす)
👉 銀行を通して、世の中のお金の量を調整している
② 円高・円安【得するのは誰?】
👦ゆうと
「1ドル100円が80円になると、
数字は下がってるのに“円高”って変じゃない?」
👧あかり
「1ドルを安く買える=円の力が強い、ってことだよ。」
円高・円安は「誰が外国と取引するか」で考えよう
円高・円安は、
「輸入が得」「輸出が得」
と丸暗記しがちだけど、それだけだと混乱しやすい。
👧あかり
「今日は
空港・港・お店
という3つの舞台で考えてみよう!」
円高の世界|輸入が有利になる
舞台①【空港】海外に行く・海外から買う(=輸入)
▶ 円高の例
(1ドル=100円 → 80円)
👧あかり
「1ドルを買うのに必要な円が減ったね。」
👦ゆうと
「同じ1ドルなのに、安く買える!」
✅ 起こること
- 海外の商品を安く買える
- 海外旅行の費用も安くなる
🎯 得する人
✅ 輸入業者
✅ 海外の商品を売る店
🎯 困る人
❌ 日本のモノを海外に売る会社(輸出企業)
👧あかり
「海外のモノが安く感じるなら、円高だよ。」
円安の世界|輸出が有利になる
舞台②【港】海外に商品を売る(=輸出)
▶ 円安の例
(1ドル=100円 → 120円)
👦ゆうと
「数字は大きくなってるのに、なんで“安”?」
👧あかり
「円の力が弱くなった、って意味だよ。」
海外の人から見ると…
- 日本のゲーム機
- 日本の車
- 日本のお菓子
が、前より 安く見える。
✅ 起こること
- 日本のモノがたくさん売れる
🎯 得する人
✅ 輸出企業
✅ 海外向けに商品を売る会社
🎯 困る人
❌ 輸入業者
(ガソリン・食料品を海外から仕入れる会社)
円高・円安は「身近な値段」にも影響する
舞台③【日本のお店】生活への影響
⛽ ガソリンスタンド
円安
→ 原油が高くなる
→ ガソリン価格が上がる
🛒 スーパー
円安
→ 輸入小麦・肉が高くなる
→ 食品が値上げされる
👦ゆうと
「だからニュースで
“円安で物価が…”って言うんだ!」
👧あかり
「そう。円安は、生活費にも直接効くんだよ。」
★ 入試ワンポイント 円高・円安【ここだけ覚えればOK】
✅ 入試では、この整理がそのまま使える
| 状態 | 得する人 | 困る人 |
|---|---|---|
| 円高 (外国のモノが安い) | 輸入業者・海外商品を扱う会社 | 輸出企業 |
| 円安 (外国のモノが高い) | 輸出企業 | 輸入業者 |
👧あかり
「迷ったら
外国のモノが安い?高い?
で考えよう。」
👦ゆうと
「それなら、判断できそう!」
🔥【中3公民・入試頻出】 ここだけは絶対に押さえろ!
👨🏫先生
「特にこの3つを“サッと説明できるかどうか”が勝負です。」
✅① 日銀の役割3つ
- 発券銀行(お札を出す)
- 政府の銀行
- 銀行の銀行
✅② 公開市場操作
- 不景気 → 買いオペ(国債を買って、日銀の金庫からお金を出す)
- 好景気 → 売りオペ(国債を売って、日銀の金庫にお金を戻す)
👉 日銀は みんなと逆に動く
景気が悪いときにお金を出し、良いときにお金を引っ込める。
✅③ 円高・円安と「誰が得か」
- 円高 → 輸入有利(海外のモノが安い)
- 円安 → 輸出有利(海外のモノが高い / 日本のモノが安く見える)
👦ゆうと
「“誰が外国と取引してるか”を思い浮かべればいいんだね。」
👧あかり
「そう、それが分かれば点が取りやすくなるよ。」
🔍【中3公民・入試直結】日銀と円高・円安Q&A
―「なんでそうなるの?」がスッと分かる―
- Q1 👦ゆうと
「日銀って買いオペ・売りオペするって言うけど、
なんでそれで景気を動かせるの?」 -
👧あかり
「まずは“お金がどこを通って世の中に出るか”を思い出そう。」銀行は、
✅ お金を企業に貸す“通り道”。だから――
🔵 不景気のとき【買いオペ】
- 日銀が銀行から国債を買う
- 銀行にお金が増える
- 企業に貸しやすくなる
- 投資・雇用が増える
- 景気回復へ
👉 日銀が お金を世の中に出す
🔴 好景気のとき【売りオペ】
- 日銀が銀行に国債を売る
- 銀行が日銀にお金を払う
- 貸せるお金が減る
- 物価上昇を抑える
👉 日銀が お金を回収する
✅ 入試ポイント
不景気 → 買いオペ
好景気 → 売りオペ - Q2 👦ゆうと
「日銀って、なんでみんなと“逆のこと”をするの?」 -
Q1を踏まえて、もう一歩進むと…
👧あかり
「そこが、日銀の一番大事な考え方なんだ。」🔻 普通の人は…
- 景気が悪い → 不安 → お金を使わない
- 景気が良い → 安心 → お金を使う
🔻 日銀は真逆
- 景気が悪い → お金を出す(買いオペ)
- 景気が良い → お金を引っ込める(売りオペ)
👧あかり
「だから日銀は、
景気のアクセルとブレーキ役 なんだよ。」✅ 入試ポイント
日銀=景気を安定させる役割 - Q3 👦ゆうと
「円高・円安って、数字を見るといつも混乱するんだけど…」 -
👧あかり
「数字じゃなくて、“1ドルを買うのに何円いるか”を考えよう。」- 1ドルを
✅ 少ない円で買える → 円高(円の力が強い)
✅ たくさんの円が必要 → 円安(円の力が弱い)
👦ゆうと
「円が強いか、弱いか、なんだね。」👧あかり
「それが分かれば、次からは楽だよ。」✅ 入試ポイント
円高=円の価値が高い
円安=円の価値が低い - 1ドルを
- Q4 👦ゆうと
「円高・円安って、結局誰が得なの?
覚えようとすると混ざっちゃう…」 -
👧あかり
「“誰が外国と取引しているか”で考えよう。」▶ 円高
- 海外のモノが安い
- ✅ 輸入業者が得
- ❌ 輸出企業が困る
▶ 円安
- 海外のモノが高い / 日本のモノが安く見える
- ✅ 輸出企業が得
- ❌ 輸入業者が困る
👦ゆうと
「“海外のモノが安い”=円高!」👧あかり
「それで8割正解。」✅ 入試ポイント
円高=輸入有利
円安=輸出有利 - Q5 👦ゆうと
「円安になると、どうしてガソリンや食品が高くなるの?」 -
👧あかり
「日本は、大事な資源や食料を海外から買ってるよね。」円安になると…
- 原油
- 小麦
- 肉・飼料
を、より多くの円で買うことになる。
👉 その結果
- ガソリン代が上がる
- 食品が値上げされる
👦ゆうと
「ニュースで“円安で物価が…”って言う理由、これか。」👧あかり
「そう。円安は、生活の値段にも直結するんだよ。」✅ 入試ポイント
円安 → 輸入品が高くなる → 物価上昇につながる
📝【中3公民・入試対策】日銀と円高・円安の重要チェック問題
―この問題がスラスラ言えれば後編はクリア!―
問題①
景気が悪いとき、日本銀行が行う金融政策は「買いオペ」「売りオペ」のどちらか。
【解答】
買いオペ
【解説】
日銀が銀行から国債を買い、お金を世の中に増やして景気回復をねらうため。
問題②
好景気のときに日本銀行が売りオペを行う理由として正しいものはどれか。
【解答】
物価の上がりすぎをおさえるため
【解説】
お金の量を減らし、景気の加熱を防ぐ役割がある。
問題③
1ドル=80円になった。この状態を何というか。
【解答】
円高
【解説】
同じ1ドルを、より少ない円で買えるため、円の価値が高い状態。
問題④
円安のときに有利になるのは、輸出業者と輸入業者のどちらか。
【解答】
輸出業者
【解説】
円安になると、日本の製品が海外で安く見え、売れやすくなるため。
問題⑤
日本銀行が金融政策を行う際、特に重視して操作しているものは何か。
【解答】
世の中に出回るお金の量
【解説】
銀行を通してお金の量を増やしたり減らしたりし、景気を調整している。
問題⑥
不景気のときに「買いオペ」を行うと、銀行の動きとして正しいものはどれか。
【解答】
銀行にお金が増え、企業にお金を貸しやすくなる
【解説】
日銀から現金が入り、銀行が融資しやすくなるため。
問題⑦
好景気のときに売りオペを行うと、銀行や企業にどのような影響が出るか。
【解答】
銀行が貸し出しを控え、企業がお金を借りにくくなる
【解説】
銀行の手元のお金が減り、無理な設備投資を抑える効果がある。
問題⑧
円高のとき、海外の商品や海外旅行はどうなるか。
【解答】
安くなる
【解説】
同じドルを少ない円で買えるため、輸入品や海外旅行の費用が下がる。
問題⑨
円安が進むと、日本国内でガソリンや食品の価格が上がりやすくなるのはなぜか。
【解答】
原料や食料を海外からより多くの円で買う必要があるから
【解説】
円安になると輸入品の価格が上がり、生活に影響が出る。
問題⑩
日本銀行は、景気が悪いときと良いときで、どのように行動を変えているか。簡単に答えよ。
【解答】
景気が悪いときはお金を増やし、景気が良いときはお金を減らす
【解説】
買いオペと売りオペを使い分け、景気を安定させる役割を果たしている。
🌈 エンディング
― 公民・経済の山場。だからこそ、向き合い方が大事 ―
👦ユウト
「正直さ……
公民の経済って、覚えること多すぎじゃない?」
👧あかり
「うん。
だからここで“やり方”を間違えると、しんどくなる。」
👦ユウト
「やっぱ全部、暗記しないとダメ?」
👧あかり
「ただの暗記だけだと、正直、点は伸びにくいよ。」
👦ユウト
「え……?」
👧あかり
「経済ってね、
意味がつながってる単元なんだ。」
👧あかり
「・お金が足りないと、どう動く?
・多すぎると、何が起きる?
・誰が得して、誰が困る?」
👧あかり
「ここを理解しないまま用語だけ覚えても、
入試では“ちょっと形を変えられた瞬間”に崩れる。」
👦ユウト
「……たしかに。
選択肢がちょっと変わるだけで、分かんなくなる気がする。」
👧あかり
「だから大事なのは、この順番。」
👉 理解する
👉 納得する
👉 その上で暗記する
👧あかり
「この順番を守れば、
経済は“覚える量”が一気に減るよ。」
👦ユウト
「全部バラバラに覚えるんじゃなくて、
“流れ”として頭に入れる感じか。」
👧あかり
「そう!
日銀も、円高・円安も、銀行も、
全部同じ“お金の話”なんだ。」
👦ユウト
「なんかさ……
最初より、経済が怖くなくなってきた。」
👧あかり
「それ、すごく大事。」
👧あかり
「ここは公民の最大の山場。
でもね――」
👧あかり
「ちゃんと向き合った人ほど、点が伸びる場所でもある。」
👦ユウト
「よし。
もう闇雲に覚えるのはやめる。」
👧あかり
「うん。
“分かったつもり”じゃなくて、
“説明できるか”を基準にしよう。」
👦ユウト
「理解してから、覚える。
理解して、理解した上で暗記する。」
👧あかり
「それで正解。」
👧あかり
「一気に全部できなくていい。
今日分からなくても、
またここに戻って考えればいい。」
👦ユウト
「よし。
経済、ちゃんとやってみる。」
👧あかり
「その気持ちがあれば大丈夫。
この山、一緒に越えていこう。」

