何でも筆算する子に、計算の工夫をどう気づかせるか
こんにちは!合格屋マックスです。
今回は、保護者の方向けの「算数教室」です。
テーマは、
計算の工夫を、子どもにどう気づかせるか
です。
教室で子どもたちを見ていると、計算問題を見た瞬間に、すぐ筆算を始める子がいます。
もちろん、筆算そのものが悪いわけではありません。
筆算は、計算の基本です。
正しく書いて、順番通りに計算する力は、とても大切です。
ただ、少し気になるのは、
何でもかんでも筆算で解こうとしてしまうこと
です。
たとえば、
25×10の計算まで筆算しようとする。
暗算や工夫で早く正確に出せそうな問題でも、まず筆算を始める。
大きな数の計算でも、そのまま大きな数で筆算してしまう。
こういう場面は、教室でもよく見かけます。
たとえば、次のような計算です。
7500×340
この問題は、いきなりそのまま筆算するよりも、数を少し分けて考えた方が、ずっと楽に、そしてミスも少なく計算できます。
でも、子どもによっては、こう言います。
「普通に筆算してはダメなの?」
この気持ちも、よくわかります。
いつものやり方の方が安心です。
工夫して考える方が、最初は少し面倒に感じることもあります。
ただ、このまま何でも筆算に頼ってしまうと、学年が上がるにつれて、計算に時間がかかりやすくなります。
時間がかかる。
スピードが上がらない。
途中でミスをする。
直すのにまた時間がかかる。
だんだん算数が重たく感じられてくる。
こういう流れになってしまう子もいます。
だからこそ、小学生のうちに育てたいのは、
ただ計算する力
だけではありません。
数字を見て、より楽で、より正確な方法を選ぶ力
です。
今日は、パパ・ママがご家庭で算数を見るときに、こうした力をどう育てていけばよいかを、具体例でお話しします。
まず大切なのは、「普通にやりたい気持ち」を否定しないこと
子どもが、
「普通に筆算してはダメなの?」
と言ったとき、大人はつい、
「それじゃ遅いでしょ」
「工夫しなさい」
「ちゃんと考えて」
と言いたくなることがあります。
もちろん、その気持ちはよくわかります。
大人から見ると、
「これは工夫した方が明らかに楽なのに」
とすぐにわかるからです。
でも、最初から強く否定すると、子どもは計算の工夫そのものを嫌がってしまうことがあります。
おすすめの声かけは、まずこうです。
「普通に筆算しても、答えは出るよ」
一度、子どもの安心したい気持ちを認めてあげます。
そのうえで、
「でも、今日は“速く、正確に計算する方法を選ぶ練習”をしているんだよ」
と伝えます。
ここが大切です。
計算の工夫は、
普通の筆算を禁止するためのもの
ではありません。
どの方法で計算するのが、速くて、間違いにくいかを考える練習
なのです。
例|7500×340 をどう見せるか
では、実際に見てみましょう。
7500×340
このまま筆算しようとすると、桁が多くなります。
もちろん、丁寧にやればできます。
でも、数が大きいので、途中で桁がずれたり、計算ミスをしたりしやすくなります。
そこで、パパ・ママはすぐにやり方を教えるのではなく、まずこう聞いてみてください。
「この計算、そのまま大きな数で考えるしかないかな?」
「7500って、何と何をかけ算した7500になる?」
子どもが迷ったら、こうヒントを出します。
「7500は、75×100と見ることができるね」
そして、340も同じように見ます。
「340は、34×10と見ることができるね」
つまり、
7500=75×100
340=34×10
です。
だから、
7500×340
=75×100×34×10
と考えることができます。
ここで、もう一つ大切な考え方があります。
かけ算は、順番を変えても答えは同じ
ということです。
だから、
75×100×34×10
を、
75×34×100×10
と並べかえて考えることができます。
すると、
100×10=1000
なので、
75×34×1000
になります。
つまり、この問題は、
まず75×34を計算して、その答えを1000倍する
と考えればよいのです。
75×34を計算すると、
75×34=2550
です。
だから、
2550×1000=2,550,000
となります。
つまり、
7500×340=2,550,000
です。
「0をつける」より、「何倍か」で見る
ここで大切なのは、単に、
「0を3つつければいい」
と覚えることではありません。
もちろん、結果としては、75×34の答えに0を3つつける形になります。
でも、子どもに育てたいのは、
なぜ0を3つつけるのか
を考える力です。
今回の場合は、
7500=75×100
340=34×10
だから、
100×10=1000
になっています。
そのため、
75×34の答えを1000倍すればよい
と考えられます。
この説明の方が、子どもにとっては少し難しく感じるかもしれません。
でも、ただの暗記ではなく、
数を分解して、計算しやすい形に組み替える
という大事な見方が育ちます。
これは、小学校の算数だけでなく、中学数学にもつながる考え方です。
子どもには、こう聞いてみる
この問題では、いきなり説明するよりも、次のように聞いてあげるとよいです。
「7500は、75の何倍かな?」
「7500は、75×いくつで表せるかな?」
「340は、34の何倍かな?」
「340は、34×いくつで表せるかな?」
子どもが答えられたら、
7500=75×100
340=34×10
と整理します。
次に、
「じゃあ、7500×340は、75×100×34×10と見られるね」
とつなげます。
そして、
「かけ算は順番を変えてもいいから、計算しやすい順番にできないかな?」
と聞いてみます。
ここで、
75×34×100×10
という形にできれば、とても良いです。
最後に、
「100×10はいくつ?」
と聞きます。
100×10=1000
なので、
75×34×1000
になります。
このように順番に聞くと、子どもは自分で気づきやすくなります。
最初から、
「75×34をして、0を3つつければいいよ」
と言ってしまうと、子どもはその場ではできます。
でも、次に似た問題が出たときに、また気づけないことがあります。
だから大切なのは、
答え方を教えることより、見方を育てること
です。
「普通に筆算してはダメ?」と言われたときの返し方
ここで、子どもがまた言うかもしれません。
「でも、普通に筆算してもいいんでしょ?」
このときは、次のように返すのがおすすめです。
「もちろん、普通に筆算しても答えは出るよ」
「でも、数字が大きいと、桁がずれたり、計算ミスをしたりしやすいよね」
「だから、今日は“ミスを減らす方法”を選ぶ練習をしているんだよ」
この言い方なら、子どもは責められている感じがしません。
ポイントは、
「普通のやり方はダメ」
ではなく、
「もっと楽で、もっと間違いにくい方法を選ぼう」
と伝えることです。
これは、ご家庭でとても大事な声かけです。
子どもは、自分のやり方をいきなり否定されると反発しやすくなります。
でも、
「そのやり方でもできる」
「でも、もっと楽な方法もある」
「どちらがよいか比べてみよう」
という流れにすると、工夫を受け入れやすくなります。
計算の工夫は、ただ速くするためだけではありません
計算の工夫というと、
「速く解くための裏ワザ」
のように感じる子もいます。
でも、本当に大切なのはそこではありません。
大切なのは、
数の特徴を見て、どの方法がよいか判断する力
です。
今回の問題なら、
7500×340
を見たときに、
「7500は75×100と見られる」
「340は34×10と見られる」
「100×10は1000になる」
「だから、75×34を先に計算すればよさそう」
「そのまま筆算するより、速く正確にできそう」
と考える力です。
これは、単なる計算技能よりもずっと大切です。
なぜなら、学年が上がるにつれて、算数はだんだん
ただ計算する教科
から、
どう考えるかを問われる教科
に変わっていくからです。
すぐ筆算する子には、こう声をかける
計算問題を見ると、すぐに筆算を始める子は多いです。
それ自体は悪いことではありません。
手を動かして解こうとする姿勢は、とても大切です。
ただし、高学年になっていくと、
筆算の前に数字を見る習慣
をつけておきたいところです。
そういうときは、叱らずにこう声をかけてみてください。
「筆算してもいいよ。その前に、10秒だけ数字を見てみようか」
この声かけは、とても使いやすいです。
「筆算しちゃダメ」
と言うと、子どもは反発しやすくなります。
でも、
「10秒だけ見てみよう」
なら、受け入れやすくなります。
その10秒で、
この数は何倍で見られるか
小さい数とかけ算に分けられないか
計算しやすい順番に変えられないか
楽に計算できる形に変えられないか
を見る練習をします。
これが、あとで大きな力になります。
何倍で見たときに気をつけたいこと
ただし、何倍で見る計算にも、注意があります。
それは、
最後に何倍するのかを忘れないこと
です。
たとえば、
7500×340
を
75×34×1000
と考えた場合、最後に
1000倍
する必要があります。
ここで、
75×34=2550
で止まってしまうと、答えが小さくなってしまいます。
だから、パパ・ママはこう確認してあげるとよいです。
「7500は75の何倍だった?」
「340は34の何倍だった?」
「100倍と10倍を合わせると、何倍になる?」
「最後に2550を何倍すればいい?」
この確認を入れるだけで、ミスがかなり減ります。
計算の工夫は、雑にやるためのものではありません。
楽にするけれど、最後の確認は丁寧にする
ここも大切です。
家庭で教えるときは、「なぜ楽なのか」を一緒に見る
ご家庭で算数を見るとき、やり方だけを教えると、子どもは暗記になりやすいです。
でも、
「なぜその方が楽なのか」
を一緒に見ると、理解が深くなります。
たとえば、今回ならこうです。
7500×340をそのまま筆算すると、桁が多くて大変。
でも、7500を75×100、340を34×10と見ることができる。
かけ算の順番を変えると、75×34×1000になる。
だから、先に75×34を計算して、最後に1000倍すればよい。
このように説明すると、子どもは
「なるほど、楽をしているだけじゃなくて、ちゃんと意味があるんだ」
とわかりやすくなります。
ここで大切なのは、子どもに完璧な説明を求めることではありません。
最初は、
「7500は75の100倍」
「340は34の10倍」
「だから最後に1000倍」
くらいで十分です。
その小さな気づきが、少しずつ算数の見方になっていきます。
この力は、中学以降にもつながります
小学生のうちは、工夫しなくても答えが出る問題がたくさんあります。
だから、子どもは
「普通に計算すればいいじゃん」
と思いやすいです。
でも、中学に入ると、計算はさらに複雑になります。
文字式。
方程式。
因数分解。
比例・反比例。
関数。
こうした単元では、ただ手を動かすだけでは苦しくなります。
大切になるのは、
式をよく見ること
数や文字の関係に気づくこと
楽にできる形に変えること
ミスを減らす方法を選ぶこと
です。
今回の
7500×340を、75×34×1000として考える
という工夫も、実はその入口です。
小学校の計算の工夫は、
中学数学に向けた準備
でもあるのです。
教室では、答えだけでなく「どこを見たか」まで確認します
教室で子どもたちを見ていると、答えが合っているかどうか以上に、
どこを見て考えたか
が大切だと感じる場面がよくあります。
たとえば、7500×340のような計算でも、ただ筆算して答えを出すだけなら、時間をかければできる子はいます。
でも、
「7500は75×100と見られる」
「340は34×10と見られる」
「100×10で1000倍になる」
「だから先に75×34を計算すればよさそう」
と気づけるかどうかで、計算の正確さも、先の算数・数学へのつながりも変わってきます。
だから教室では、答えだけでなく、
子どもがどこを見て、どんな方法を選んだのか
を大切にしています。
「この問題は、そのまま筆算した方がいいのか」
「数を分けて考えた方が楽なのか」
「どこで計算が大変になりそうなのか」
「最後に何倍すればよいのか」
こうしたことを一つひとつ整理していくと、子どもは少しずつ、
ただ解く子から、考えて選べる子へ変わっていきます。
ここに、算数が伸びる大きなきっかけがあります。
パパ・ママが完璧に教えなくても大丈夫です
ご家庭で算数を見るとき、パパ・ママが全部説明できる必要はありません。
大切なのは、子どもに問いを渡すことです。
たとえば、
「この数字、何か特徴ある?」
「7500は、75の何倍かな?」
「340は、34の何倍かな?」
「100倍と10倍を合わせると、何倍になる?」
「どっちの方法が楽そう?」
「ミスが少ないのはどっちかな?」
このような声かけだけでも、子どもの見方は変わります。
パパ・ママは、先生役を完璧にやらなくて大丈夫です。
子どもが気づくための横にいる人
でいてあげれば十分です。
親が先に言いすぎないことも大切です
算数が得意な保護者ほど、子どもより先に気づいてしまいます。
そして、つい、
「ほら、75×100でしょ」
「340は34×10なんだから」
「だから1000倍すればいいんだよ」
「なんで気づかないの?」
と言いたくなる場面もあると思います。
でも、ここは少し待ってあげてください。
子どもが自分で気づいたとき、理解は深く残ります。
大人が先に全部言ってしまうと、子どもは
「教えてもらったらできる」
になりやすいです。
でも、自分で見つけられると、
「次も探してみよう」
になります。
この差は大きいです。
ご家庭では、
教え込むより、気づかせる。
先回りするより、少し待つ。
答えより、見方を育てる。
この3つを意識してみてください。
家庭で使えるチェックリスト
お子さんの計算を見るときは、次のことを確認してみてください。
✅ すぐ筆算する前に、数字を見ようとしている?
✅ 数を「何倍か」で見ようとしている?
✅ 7500を75×100のように分けて考えられる?
✅ 340を34×10のように分けて考えられる?
✅ かけ算の順番を変えると楽になることに気づいている?
✅ 最後に何倍すればよいか確認している?
✅ 普通に計算する方法と、工夫する方法を比べている?
✅ 親が先に言いすぎず、子どもが気づく時間を取れている?
全部できていなくても大丈夫です。
まずは、1問だけでいいので、
「筆算の前に、10秒だけ数字を見てみようか」
と声をかけてみてください。
その10秒が、子どもの算数の見方を変えるきっかけになります。
最後に
計算の工夫は、未来の数学につながっています
計算の工夫は、ただ速く答えを出すためのものではありません。
数字を見る。
特徴に気づく。
何倍かで考える。
楽な方法を選ぶ。
ミスを減らす。
なぜその方法がよいのかを考える。
こうした力が、中学以降の数学につながっていきます。
ご家庭でできることは、難しい説明ではありません。
「この数字、何か特徴ある?」
「何倍になっているかな?」
「筆算の前に、10秒だけ見てみよう」
このような小さな声かけです。
合格屋マックスでは、子どもたちがただ正解するだけでなく、
先につながる算数の見方
を身につけられるよう、日々の授業でも一つひとつの考え方を大切にしています。
一つの計算から、未来の数学につながる力を育てていきましょう。

