📚 このブログは 「中3公民ストーリーシリーズ|定期テストも入試も安心」 の1本です。
「民主主義」「選挙制度」「1票の格差」など、公民でつまずきやすいテーマを、会話形式でわかりやすく解説します。
→ 「公民ってむずかしい…」が「そういうことか!」に変わる、わかる中3社会公民シリーズ第2弾! 政治編
第1部【ストーリー解説】民主主義と選挙のしくみ
👦 ゆうと:「ねえあかり、どうして選挙で少数派の意見が勝つことがあるの?多数決なら人数が多い方が勝つはずじゃない?」
👧 あかり:「いいところに気づいたね!今日は“民主主義”や“選挙制度”について一緒に考えていこう。実は“ルール”の決め方で、結果が変わることもあるんだよ。」
1. 民主主義って何?
👧 あかり:「まずは“民主主義”からだね。もしクラスで学級委員を決めるとき、一人の子が“私がやる!”って自分勝手に決めたらどう思う?」
👦 ゆうと:「えー!それはダメだよ。みんなで相談しないと。」
👧 あかり:「そう。みんなで意見を出し合って決めるのが“民主主義”。一部の人だけで決めてしまうのは“独裁政治”っていうんだよ。」
📋 まとめ
- 民主主義:みんなで話し合って決める
- 独裁政治:一人や少数で勝手に決める
2. 民主制の2つの方法
👦 ゆうと:「みんなで決めるっていっても、どうやってやるの?」
👧 あかり:「大きく2つの方法があるよ。直接民主制と間接民主制(議会制民主主義)だよ。」
- 直接民主制:みんなが直接集まって話し合う
例:生徒全員が体育館に集まる“生徒総会” - 間接民主制:代表を選んで、その人たちが話し合う
例:学級委員が集まって話す“代表委員会”
3. 選挙の4つの基本ルール
👧 あかり:「間接民主制では、代表を選ぶ“選挙”がとても大事。その選挙には4つの基本ルールがあるんだ。」
- 普通選挙:年齢や性別で差をつけない
- 平等選挙:一人1票、票の重さは平等
- 秘密選挙:誰に投票したかは秘密
- 直接選挙:有権者が直接投票
👦 ゆうと:「これでみんなの意見が平等に反映されるんだね!」
4. 小選挙区制と比例代表制
👦 ゆうと:「でも、どうして少数派が勝つことがあるの?」
👧 あかり:「それは代表の選び方に小選挙区制と比例代表制があるからだよ。」
小選挙区制
👧 あかり:「小選挙区制は“1つの地域から1人だけ”選ぶ方法。クラスで係を1人決めるのと同じだね。最も票が多い人が勝って、他の意見は全部切り捨てられちゃう。」
👦 ゆうと:「なるほど…。負けた方の票は“なかったこと”になるんだね。」
比例代表制
👧 あかり:「比例代表制は、得票率に応じて人数を分ける方法だよ。例えば読書クラブに60%、学習クラブに40%の票が入ったとき、5人を選ぶなら、読書クラブは3人、学習クラブは2人。」
👦 ゆうと:「おお!少数派でもちゃんと代表を出せるんだ!」
👧 あかり:「そう。だから日本は、この2つを組み合わせて、より公平にしようとしているんだ。」
5. 衆議院と参議院
👦 ゆうと:「日本の国会ってどうなってるの?」
👧 あかり:「国会は“法律を作る場所”。その国会には衆議院と参議院の2つがあるんだよ。両方とも、小選挙区と比例代表を組み合わせて選ばれているんだ。」
📊 表:衆議院と参議院の人数
| 議院 | 定数 | 小選挙区(選挙区選挙) | 比例代表 |
|---|---|---|---|
| 衆議院 | 465人 | 289人 | 176人 |
| 参議院 | 248人 | 148人 | 100人 |
👦 ゆうと:「なるほど!2つの仕組みを合わせてるんだね。」
6. 1票の格差
👧 あかり:「次は“1票の格差”。これは“人数が違う地域でも同じ1議席”だから起こるんだ。」
例:30人クラス(A組)、20人クラス(B組)、10人クラス(C組)。
各クラスで多数決をして、その結果で代表が1票ずつ投票すると…
- A組(30人):アイス20票 → アイスに1票
- B組(20人):ケーキ12票 → ケーキに1票
- C組(10人):ケーキ6票 → ケーキに1票
学校会議の結果:アイス1票、ケーキ2票 → ケーキ勝利!
でも合計人数では…
- アイス派:20+8+4=32人
- ケーキ派:10+12+6=28人
👦 ゆうと:「あれ!?人数ではアイスが勝ってるのに!」
👧 あかり:「こういう“数の不思議”を知ると、ニュースで『選挙区の見直し』って言葉が出たとき、意味がわかるようになるんだよ。社会のニュースもぐっと身近に感じられるようになるよ。」
7. ドント方式
👦 ゆうと:「比例代表って、実際にはどうやって決めるの?」
👧 あかり:「そこで使うのが“ドント方式”。簡単にいうと“得票数を1、2、3と割っていって、大きい順に議席を割り当てる”方法だよ。」
具体例:10議席を4党で分ける
- A党:600票
- B党:300票
- C党:200票
- D党:100票
割り算表👇 この表で、数字を大きい順に10個選ぶ。
| 政党 | ÷1 | ÷2 | ÷3 | ÷4 |
|---|---|---|---|---|
| A党 | 600 ① | 300 ② | 200 ④ | 150 ⑥ |
| B党 | 300 ② | 150 ⑥ | 100 ⑧ | 75 |
| C党 | 200 ④ | 100 ⑧ | 67 | 50 |
| D党 | 100 ⑧ | 50 | 33 | 25 |
- A党:4議席
- B党:3議席
- C党:2議席
- D党:1議席
👦 ゆうと:「ほんとだ!票が少ないC党やD党も議席が取れてる!」
👧 あかり:「そう。だから比例代表制は“少数意見も生き残れる”んだよ。」
小選挙区制と比例代表制のちがい(まとめ)
📊 表で整理してみよう!
| 制度 | 良いところ(長所) | 悪いところ(短所) |
|---|---|---|
| 小選挙区制 | ・勝敗がハッキリして、結果がわかりやすい ・政権が安定しやすい | ・少数派の意見が切り捨てられやすい ・“死票”が多く出る |
| 比例代表制 | ・少数派の意見も反映されやすい ・死票が少ない | ・政党が多くなりやすく、政権が不安定になりやすい ・仕組みが少し複雑 |
用語のやさしい解説 🌱
- 死票(しひょう):投票したけど、自分が選んだ候補や政党が当選につながらなかった票のこと。つまり「ムダになった票」。
- 政権が安定する/不安定になる:
- 安定する → 1つの政党が議席をたくさんとって、国の方針をスムーズに決めやすい状態。
- 不安定になる → 小さい政党がたくさんになって、意見がまとまりにくく、なかなか決められない状態。
👦 ゆうと:「“死票”って“ムダ票”のことか。なるほど!」
👧 あかり:「そうそう。それに、国の方向を決めるとき、まとまるのは大事。でもいろんな意見も必要。だから両方の制度を組み合わせてるんだよ。」
第2部 ギモンを解決!選挙のひみつQ&A
- Q1 👦 ゆうと:「民主主義って“みんなで決める”ことだけど、人数が多いとどうして難しくなるの?」
-
👧 あかり:「人数が増えると、全員が集まって意見を言うのに時間がかかるからだよ。だから大人数の国では、代表者を選んで話し合う“間接民主制”(議会制民主主義)を使うんだね。」
- Q2 👦 ゆうと:「小選挙区制では、どうして“死票”が出やすいの?」
-
👧 あかり:「1つの選挙区から1人しか選ばれないからだよ。負けた候補に入れた票は、そのまま当選に結びつかなくなるんだ。だから“死票=ムダ票”が多くなりやすいんだね。」
- Q3 👦 ゆうと:「比例代表制だと、どうして少数派の意見も反映されやすいの?」
-
👧 あかり:「得票数の割合で議席を分けるからだよ。例えば20%の票を集めたら、全体の議席の20%くらいはもらえる。だから票が少なくても、代表を出せる仕組みになってるんだ。」
- Q4 👦 ゆうと:「“1票の格差”って、どうして問題になるの?」
-
👧 あかり:
「たとえば、30人のクラスと10人のクラスがあったとするよ。
それぞれのクラスで多数決をして、人数が多かった方の意見が、学校の全体会議で“そのクラスの1票”になったとするね。でもここで問題!
30人で決めた意見も、10人で決めた意見も、学校会議では同じ“1票”として数えられるんだ。
つまり、30人の意見が“1票”、10人の意見も“1票”で同じ重さ。これだと、30人の意見が軽く扱われちゃって、不公平になるよね。
これが“1票の格差”なんだ。」 - Q5 👦 ゆうと:「ドント方式ってどうしてわざわざ“割り算”をするの?」
-
👧 あかり:
「ドント方式は、たくさん票を集めた大きな党には多めに、小さい党にも少しは分けられるようにする工夫なんだ。やり方は簡単で、集めた票の数を“1、2、3…”と割っていって、その数字を大きい順に並べて議席を配っていくの。
例えば、10議席を分けるときに…
- A党 600票
- B党 300票
- C党 200票
- D党 100票
とすると、まずA党は600票でトップだから1議席。
でも次は“600÷2=300”で、B党の300票と同じ大きさになって、B党にも議席が回ってくる。こんなふうに順番に割っていくと、A党はもちろんたくさん取れるけど、C党やD党みたいな小さい党も、少なくても1議席は取れるようになるんだよ。」
👧 あかり:「ここまで選挙の仕組みを見てきたけど、いろんな制度がバランスを取り合ってるってわかったね。最後に今日のポイントを整理してみよう!」
第3部まとめ:要点表(入試出題頻度ランクつき)
民主主義(みんしゅしゅぎ)
国民の意見を大切にし、みんなで政治に参加するしくみ。
⭐⭐⭐⭐⭐
直接民主制(ちょくせつみんしゅせい)
国民全員が集まり、自分たちで決めるやり方。例:生徒総会。
⭐⭐⭐☆☆
間接民主制(かんせつみんしゅせい/議会制民主主義)
国民が代表を選び、その代表が議会で話し合って決める。日本の基本スタイル。
⭐⭐⭐⭐⭐
選挙の4原則
①普通選挙(差別しない)
②平等選挙(1人1票)
③秘密選挙(誰に入れたか秘密)
④直接選挙(代表を直接選ぶ)
⭐⭐⭐⭐⭐
小選挙区制(しょうせんきょくせい)
1つの選挙区から1人を選ぶ方式。勝敗がわかりやすいが、少数意見が切り捨てられやすい。
⭐⭐⭐⭐☆
比例代表制(ひれいだいひょうせい)
得票数に応じて議席を分ける方式。少数派の意見も反映されやすい。
⭐⭐⭐⭐⭐
1票の格差(いっぴょうのかくさ)
人口の多い選挙区と少ない選挙区で、1票の重みが違ってしまうこと。不公平の原因になる。
⭐⭐⭐⭐☆
ドント方式(ドントほうしき)
比例代表で議席を分けるときの計算方法。得票数を割り算して順番に配分する。小さな政党も議席を得やすい。
⭐⭐⭐⭐☆
衆議院(しゅうぎいん)と参議院(さんぎいん)
国会は二院制。
- 衆議院:任期4年、解散あり
- 参議院:任期6年、解散なし
どちらも「小選挙区+比例代表」で選ばれる。
⭐⭐⭐⭐⭐
第4部:確認テスト
基本編
Q1. 「みんなで意見を出し合い、政治に参加するしくみ」を何と言いますか。
A1. 民主主義
解説:国民が主人公の政治。話し合い・多数決で決める。
Q2. 日本の基本は、代表を選んで決める方式です。何と言いますか。
A2. 間接民主制(議会制民主主義)
解説:全員で直接決めず、選ばれた代表(国会議員)が議会で決める。
Q3. 選挙の4原則のうち「1人1票で票の重さが同じ」を何と言いますか。
A3. 平等選挙
解説:ほかに普通・秘密・直接がある。
Q4. 小選挙区制は、1つの選挙区から何人を選ぶ方式ですか。
A4. 1人
解説:勝者総取りになりやすい。
Q5. 比例代表制では、何に応じて議席を配分しますか。
A5. 得票数(得票率)
解説:票の割合に合わせて人数を分ける。
Q6. 地域によって1票の重みが違ってしまう問題を何と言いますか。
A6. 1票の格差
解説:人口の多い区と少ない区で不公平が生じる。
Q7. 比例代表で使われる議席配分方法の名前は何ですか。
A7. ドント方式
解説:票を1、2、3…で割り、大きい順に議席を配る。
Q8. 国会が2つの院でできている制度を何と言いますか。
A8. 二院制
解説:衆議院と参議院の2つ。
Q9. 小選挙区制で生まれやすい、当選に結びつかない票を何と言いますか。
A9. 死票(しひょう)
解説:1人しか当選しないため、2位以下の票は議席に変わらない。
Q10. 衆議院・参議院はどちらも、どんな2つの制度を組み合わせて議員を選びますか。
A10. 小選挙区(参議院は選挙区)+比例代表
解説:衆=小選挙区+比例、参=選挙区(都道府県など複数定数)+比例。
チャレンジ編
Q1. 国民全員が直接集まって決める方式を何と言いますか。
A1. 直接民主制
解説:例=住民投票・生徒総会など。
Q2. 「誰に投票したかが守られる」選挙の原則を何と言いますか。
A2. 秘密選挙
解説:安心して自由に投票できるようにする。
Q3. 小選挙区制の長所を1つ挙げなさい。
A3. 勝敗がはっきりして政権が安定しやすい
解説:大きな政党が過半数を取りやすい
Q4. 小選挙区制の短所を1つ挙げなさい。
A4. 少数意見が切り捨てられやすい(死票が多い)
解説:1位以外の票が議席に反映されにくい。
Q5. 比例代表制の長所を1つ挙げなさい。
A5. 少数派の意見も反映されやすい
解説:得票率に比例して議席が配られる。
Q6. 比例代表制の短所を1つ挙げなさい。
A6. 政党が多くなり、方針がまとまりにくく政権が不安定になりやすい
解説:合意形成に時間がかかることがある。
Q7. 1票の格差は、なぜ問題ですか。
A7. 国民の意見が不平等に扱われるから
解説:同じ1票でも人口差で重みが変わると不公平。
Q8. ドント方式は、どんな手順で議席を配りますか。
A8. 各政党の得票数を1、2、3…で割り、出てきた数を大きい順に並べて議席数ぶん上から配る
解説:例)A600票・B300票なら、Aの「600」は1議席目、次に「600÷2=300」でBの300と同じ大きさになり、Bにも議席が回る――というふうに、“割る”ことで順番に拾っていく。
Q9. ドント方式だと、小さい政党にも議席が配られるのはなぜ?
A9. 割り算で数を小さくしながら順に拾うから、少ない票でもどこかの順番で上位に入れるため
解説:たとえばC党200票は最初は負けても、「A600÷3=200」と並び、その順番で議席が取れることがある。
Q10. 衆議院の選挙はどんな組み合わせ?
A10. 小選挙区制+比例代表制
解説:1選挙区1人当選(小選挙区)と、得票割合で配分(比例)の合わせ技。
Q11. 参議院の「選挙区制」と、衆議院の「小選挙区制」はどう違う?
A11. 小選挙区制は「各区から1人だけ当選」。一方、参議院の選挙区制は都道府県などを単位に、定数に応じて1人のことも複数人のこともある(=複数定数区がある)。
解説:だから参議院は“選挙区制”と呼び、衆議院の“小選挙区制(必ず1人)”とは区別する
Q12. 1票の格差を小さくするために行われる対策を1つ挙げなさい。
A12. 選挙区の区割り見直し(合区など)/定数の調整
解説:各選挙区の有権者数のバランスを整える。
Q13. 日本が小選挙区制と比例代表制を「組み合わせて」使う理由を一言で。
A13. 多数派のわかりやすさと、少数意見の反映のバランスを取るため
解説:どちらか一方だけだと偏りが出やすい。
Q14. 選挙の4原則のうち「直接選挙」は何のため?
A14. 有権者が自分の意思で直接、代表を選ぶため
解説:だれかを経由しない“自分の一票”。
Q15. ドント方式で議席配分せよ。A党480票/B党300票/C党180票、合計6議席。
A15. A党3議席・B党2議席・C党1議席
解説:割り算表を作る
A党:480、240、160、120…
B党:300、150、100、75…
C党:180、90、60、45…
大きい数から6個選ぶ → 480(A)・300(B)・240(A)・180(C)・160(A)・150(B) ⇒ A党3人・B党2人・C党1人
まとめ
今日学んだことは、「民主主義と選挙のしくみ」でした。
- 民主主義は「みんなで話し合って決める」こと。
- 日本では「間接民主制=代表を選ぶ制度」が基本。
- 選挙には4つのルール(普通・平等・秘密・直接)。
- 「小選挙区制」と「比例代表制」という2つの選び方があり、それぞれの長所と短所を組み合わせてバランスを取っている。
- さらに「1票の格差」や「ドント方式」など、結果を左右する仕組みもある。
こうして選挙制度を知ることで、「どうして少数派の意見が勝つことがあるのか」という最初のギモンにも答えが見えてきたはずです。
🌸 未来への一歩:学んだことが“チカラ”になる瞬間
👩🏫 あかり:「今日の内容はちょっとむずかしかったかもしれないけど、安心してね。だれでも最初は“なんとなく”しかわからないものなんだよ。」
👦 ゆうと:「そうそう。ぼくも“1票の格差”とか“ドント方式”とか、はじめは???だったけど、例え話で考えたら少しずつ見えてきた!」
👩🏫 あかり:「社会を変える力は、1票から始まるんだよ。みんなが大人になって投票するとき、“あ、昔に習ったやつだ!”って思えるように、今のうちに知識を貯めておこうね。」
👦 ゆうと:「ぼくたちの未来をつくるのは、先生や政治家だけじゃなくて、ぼくら一人ひとり。そう思ったら、ちょっとワクワクしてこない?」
👩🏫 あかり:「だからこそ、勉強は“未来への準備”。自分の意見を持って、胸を張って社会に出ていけるように、今日も一歩前に進んでいこう!」

