👦 ゆうと:「あ〜、理科室の先生の手伝いで砂袋を運んだら腕がパンパン!これぞ“仕事した”って感じ!」
👧 あかり:「あはは、確かに疲れそう。でもね、物理の世界では“それ、仕事してない”って言われちゃうかも。」
👦 ゆうと:「え!?あんなにがんばったのに⁉」
👧 あかり:「そうなの。今日はその“仕事”って言葉が、物理ではどういう意味なのか、やさしく説明していくね!」
① 「仕事」ってなに?
👦 ゆうと:「物理の“仕事”って、何をしたら“仕事した”ことになるの?」
👧 あかり:「いい質問だね。実は、“力を加えて、その力の向きに物体を動かしたとき”にだけ、仕事をしたことになるんだよ。」
📘 仕事の式
仕事(J)= 力の大きさ(N) × 力の向きに動いた距離(m)
👧 あかり:「たとえば、5Nの力で物を2m持ち上げたら、5×2=10J(ジュール)の仕事をしたことになるの。」
👦 ゆうと:「ジュールって、中2の電気の時にも出てきたやつだよね?」
👧 あかり:「そうそう!“エネルギーの量”を表す単位で、まったく同じジュールなんだよ。」
💡 1ジュール(J)って?
1ジュールとは、1ニュートンの力で1メートル動かしたときの仕事の大きさ。
つまり、1J=1N・m と表せるんだ。
② 「立ってるだけ」では仕事じゃない?
👦 ゆうと:「じゃあ、重い荷物をずっと持って立ってるときも仕事してるよね?」
👧 あかり:「ううん、それは“仕事0”なんだ。」
👦 ゆうと:「えっ!?腕プルプルしてるのに⁉」
👧 あかり:「気持ちはわかる(笑)。でも、物理では“動いてない”=“距離が0m”だから、
力 × 距離=0
つまり仕事0ジュールなんだよ。」
👦 ゆうと:「うわ〜、なんか理不尽だなぁ。」
👧 あかり:「物理の“仕事”は、“力を加えて動かしたかどうか”がポイントなんだね。」
③ 「方向がちがう」ときも仕事じゃない?
👦 ゆうと:「じゃあ、荷物を持って歩いたら? 動いてるし、それなら仕事でしょ!」
👧 あかり:「実はそれも“仕事0”なんだ。」
👦 ゆうと:「なんで〜!?」
👧 あかり:「だって、荷物を持つ力は“上向き”で、歩く方向は“横向き”でしょ?
力と動く方向がちがうと、仕事は0になるんだよ。」
👦 ゆうと:「なるほど…方向まで関係あるのか!」
👧 あかり:「そう。だから、“力の向きと移動の向き”が同じときだけ仕事になるんだ。」
④ 「仕事率」ってなに?
👦 ゆうと:「じゃあ、“仕事率”って名前からして“仕事の速さ”みたいな感じ?」
👧 あかり:「その通り!“どれだけ速く仕事をしたか”を表すのが“仕事率”なんだよ。」
📘 仕事率の式
仕事率(W)= 仕事(J) ÷ 時間(s)
👧 あかり:「たとえば、300Jの仕事を10秒で終えたら、300÷10=30W(ワット)。」
👦 ゆうと:「ワットって、電気製品の“1000Wヒーター”とかのWだ!」
👧 あかり:「そうそう!“1秒間にどれくらい仕事をしてるか”って意味なんだよ。」
💡 単位の関係もチェック!
1W(ワット)は、1秒間に1J(ジュール)の仕事をすること。
つまり、1W=1J/s(ジュール毎秒) なんだ!
⑤ 同じ仕事でも「速いほうがすごい!」
👦 ゆうと:「たとえば、重い荷物を持ち上げるのに、俺は10秒、あかりは5秒かかったとしたら?」
👧 あかり:「どっちも同じ高さに上げてるから、仕事の量は同じ。でも私は速いから“仕事率”が大きいの。」
👦 ゆうと:「つまり、“スピード勝負”なんだね!」
👧 あかり:「そう。勉強も同じで、同じページをやるなら、早く理解できる方が“仕事率が高い”ってことだよ。」
👦 ゆうと:「うっ…それは耳が痛いな…。」
| 仕事(J) | 時間(s) | 仕事率(W) |
|---|---|---|
| 300 | 10 | 30 |
| 300 | 5 | 60 |
| 300 | 2 | 150 |
👧 あかり:「同じ300Jの仕事でも、早く終わらせた方が仕事率が大きくなるのが分かるね。」
⑥ 練習してみよう!
問題1
50Nの力で10m物体を動かしました。仕事はいくつ?
👉 50×10=500J
問題2
100Jの仕事を5秒で終えました。仕事率はいくつ?
👉 100÷5=20W
問題3
60秒で3000Jの仕事をした機械と同じ仕事を、20Wの機械で行うと何秒かかる?
👉 答え:150秒
解説:
「60秒」というのは最初の機械の情報ですが、
求めたいのは「20Wの機械で3000Jの仕事をする時間」なので、
実は 60秒の情報は不要 です。
1W(ワット)は「1秒間に1J(ジュール)の仕事をする」という意味なので、
20Wの機械は、
1秒間に20Jの仕事をする
したがって、3000Jの仕事をするのにx秒かかったとすると、
20W×x秒=3000J
これを解くと、 x=3000÷20=150
つまり、20Wの機械では150秒かかるということです。
⑦ 日常で見かける“仕事率”
👧 あかり:「ドライヤーって1200W、電気スタンドは40Wくらいって書いてあるでしょ?」
👦 ゆうと:「うん。つまりドライヤーの方が“1秒間にする仕事”が多いんだね!」
👧 あかり:「その通り!ワットの数字が大きいほど、エネルギーを早く使う=仕事率が大きいってことなんだ。」
🔑 まとめ
| 用語 | 計算式 | 単位 | ポイント |
|---|---|---|---|
| 仕事 | 力 × 距離 | J(ジュール) | 力と移動の向きが同じときだけ“仕事”になる |
| 仕事率 | 仕事 ÷ 時間 | W(ワット) | 1秒あたりの仕事の量。1W=1J/s |
👧 あかり:「“力を出した”だけじゃダメ、力をうまく使ってこそ“仕事”になるんだね。」
👦 ゆうと:「なるほど…『どれだけ力を出したか』より、『どう使ったか』が大事なんだ!」
👧 あかり:「そう!勉強でも、時間だけじゃなく“中身の濃さ”が大事。これも“仕事率”の話と同じだね!」
👦 ゆうと:「よーし、これからは“仕事率の高い勉強”を目指すぞ!」
💡仕事と仕事率のギモンを解決!Q&A
- ① 同じ荷物を持ち上げても、ゆっくり持ち上げた人と速く持ち上げた人では、どっちが“仕事”が大きいの?
-
👦 ゆうと:「スピードが違うから、速いほうが“仕事”が多そうだよね?」
👧 あかり:「実は、どっちも同じなんだよ。」
👦 ゆうと:「えっ!? 速さは関係ないの?」
👧 あかり:「うん。“仕事”は『力 × 距離』で決まるから、速さは関係しないの。
でも“仕事率”なら違うよ。同じ仕事を短時間で終わらせたほうが、仕事率は高くなるんだ。」 - ② 重いものを“持ち上げる”のと“押す”のでは、どちらのほうが仕事が大きいの?
-
👦 ゆうと:「力を出してる感じは“持ち上げる”ほうが大きい気がするけど…?」
👧 あかり:「うーん、一概には言えないんだ。だって“どれくらいの力”で“どれだけ動かしたか”で決まるからね。」
👦 ゆうと:「あっ、力と距離の両方が関係してるってことか!」
👧 あかり:「そう! たとえば強い力でもちょっとしか動かさなければ仕事は小さいし、弱い力でも長い距離を動かせば大きな仕事になるんだよ。」 - ③ 重い荷物を持ってじっと立っていると、すごく疲れるのに仕事は0J(ジュール)なの?
-
👦 ゆうと:「えっ? ずっと支えてるのに0って、おかしくない?」
👧 あかり:「そう思うよね。でも物理では、“力の向きにどれだけ動いたか”で仕事を決めるんだよ。」
👦 ゆうと:「つまり、動いてない=距離0だから、仕事も0ってことか!」
👧 あかり:「そう。人の感覚とは違うけど、物理では“動かさない限り仕事をしてない”って考えるんだ。
これが『力を出してるのに仕事じゃない』という不思議な世界なんだよ。」 - ④ “仕事率”はどんなときに高くなるの?
-
👦 ゆうと:「“仕事率が高い”って聞くと、なんかスゴそうだよね!」
👧 あかり:「そうだね!仕事率は“同じ仕事を短い時間で終わらせる”か、“同じ時間でより多くの仕事をする”ときに高くなるよ。」
👦 ゆうと:「つまり、速く終わらせるか、たくさんやるかってことか!」
👧 あかり:「その通り! たとえば同じ300Jの仕事を10秒で終える人より、5秒で終える人のほうが、仕事率は2倍なんだよ。」 - ⑤ 家電の“1000W”とか“600W”って書いてあるけど、これも仕事率なの?
-
👦 ゆうと:「電子レンジに“600W”って書いてあるけど、これって何のこと?」
👧 あかり:「あれも“仕事率”を表してるんだよ。1Wは『1秒間に1J(ジュール)の仕事をする』って意味なの。」
👦 ゆうと:「じゃあ、600Wのレンジは1秒で600J分の仕事をしてるってこと?」
👧 あかり:「その通り!だから“W(ワット)”が大きいほど、短い時間でたくさんのエネルギーを使う=仕事率が高いってことなんだ。」
🔍まとめ
- 仕事は「力 × 距離」で決まる(スピードは関係ない)
- 仕事率は「仕事 ÷ 時間」で決まる
- 動いていないと、どんなに力を出しても仕事にはならない
- W(ワット)は「1秒あたりに行う仕事の量」
🧭 ここだけは絶対に押さえろ! 🧪テストではここが出る!
① 仕事の意味は「力を出すこと」ではなく「力で動かすこと」!
→ 力を加えても、物体が動かなければ仕事は0J(ジュール)。
👉 「持っているだけ」「押しても動かない」は 仕事ではない!
② 仕事の公式は必ず “力の向き” に注目!
→ 公式は
仕事(J)=力(N)×力の向きに動いた距離(m)
力の向き動く向きが違えば(例:上に持ち上げたまま横に歩く)、仕事は0。
③ 単位に注意!
- 力 → N(ニュートン)
- 距離 → m(メートル)
- 仕事 → J(ジュール)
👉 「cm」や「kg」でそのまま計算しないこと!
④ 仕事率の考え方は「速さ」ではなく「効率」!
→ 同じ仕事を短時間で終わらせると、仕事率が高くなる。
仕事率(W)=仕事(J)÷時間(s)
⑤ 仕事と仕事率の違いを区別できるように!
- 仕事:どれだけの力でどれだけ動かしたか(量)
- 仕事率:その仕事をどれだけ速くしたか(効率)
🧪テストではここが出る!
① 仕事の計算問題(定番!)
50Nの力で10m物体を動かした。仕事はいくら?
👉 50×10=500J
② 仕事率の計算問題
100Jの仕事を5秒で終えた。仕事率はいくら?
👉 100÷5=20W
③ 「仕事をしていない」例の選択問題
a. 重い荷物を持って立つ
b. 荷物を持ち上げる
c. 荷物を押して動かす
👉 aは仕事をしていない
④ 単位換算の落とし穴
30Nの力で10cm物体を動かした。仕事はいくら?
👉 距離がcmで与えられていたら、mに直して計算!
→ 30×0.1=3J
⑤ 文章問題(応用)
500Nでの10m持ち上げる仕事を、20Wの機械が行うと何秒かかる?
👉 500Nでの10m持ち上げる仕事は、500×10=5000J
この仕事を20W(1秒で20Jの仕事をする)の機械で、x秒かかるとすると、
20W×x秒=5000J 5000÷20=250秒 (答)250秒
📝 仕事と仕事率の確認問題
【第1部】基本用語チェック(意味・理解)
→ “言葉の意味”を正しく押さえることが得点の第一歩!
① 理科でいう「仕事」とは、どんなことをいう?
➡️ 物体に力を加えて、その力の向きに動かしたとき、「仕事をした」といいます。
📘 解説:
日常の「がんばった=仕事した」とはちがい、
理科では「力を出しただけ」ではなく「動かしたとき」に仕事が発生します。
② 「仕事が0(ゼロ)」になるのはどんなとき?
➡️ 力を加えても動かないとき、または力の向きと動く向きがちがうとき。
(例:荷物を持って立つ/上に持ったまま横に歩く)
③ 仕事の公式は。
➡️ 仕事(J)=力(N)×力の向きに動いた距離(m)
④ 仕事の単位は何ですか。
➡️ ジュール(J)
⑤ 仕事率の意味を言ってください。
➡️ 1秒あたりにどれだけの仕事をしたかを表す量。
⑥ 仕事率の公式は。
➡️ 仕事率(W)=仕事(J)÷時間(s)
⑦ 仕事率の単位は。
➡️ ワット(W)
⑧ 仕事と仕事率のちがいは何ですか。
➡️ 「仕事」はした量。 「仕事率」はその速さ(効率)を表す。
⑨ “疲れた”のに“仕事をしていない”例を1つ挙げてください。
➡️ 例:重い荷物を持って立っているだけ。動かないから仕事は0。
⑩ 電気製品の“W(ワット)”は何を表している?
➡️ 1秒間に使うエネルギーの量(仕事率)
【第2部】基本計算問題
→ 確実に正解できるように練習しよう!
① 50Nの力で物体を10m動かした。
このときの仕事はいくら?
➡️ 50 × 10 = 500J
📘 解説: 仕事 = 力 × 距離 の公式を使う。単位はJ(ジュール)。
② 100Nの力で5m持ち上げた。
このときの仕事は?
➡️ 100 × 5 = 500J
📘 解説: 上方向に同じ向きで動いているので、そのまま掛け算でOK。
③ 80Jの仕事を4秒で終えた。仕事率はいくら?
➡️ 80 ÷ 4 = 20W
📘 解説: 仕事率 = 仕事 ÷ 時間。単位はW(ワット)。
④ 仕事率60Wの機械が10秒で行う仕事は?
➡️ 60 × 10 = 600J
📘 解説: 1秒で60Jの仕事をするので、10秒なら10倍。
⑤ 30Nの力で5m動かしたとき、10秒かかった。仕事率を求めよ。
➡️ 仕事=30×5=150J → 150÷10=15W
📘 解説: まず仕事を求め、次に時間で割って仕事率を出す。
⑥ 仕事率50Wの機械が60秒で終える仕事を、20Wの機械で行うと何秒かかる?
➡️ 50×60=3000J → 3000÷20=150秒
📘 解説: まず全体の仕事量を求め、それを20Wの速さで割る。
⑦ 2kgの物体を2m持ち上げたときの仕事を求めよう。
➡️ 力=2kg=20N → 仕事=20×2=40J
📘 解説: 重さ(N)を出してから距離を掛ける。入試頻出タイプ!
⑧ 仕事と仕事率の違いを説明せよ。
✅ 解答
「仕事」は、力を加えて物体を動かしたときのエネルギーの量を表す。
「仕事率」は、その仕事を行う速さ(1秒あたりの仕事の量)を表す。
💬 解説
- 「仕事」は、どれだけの力でどれだけ物体を動かしたかを示す“量の大きさ”。
式は → 仕事(J) = 力(N) × 距離(m)
単位はジュール(J)。 - 一方「仕事率」は、その仕事をどれだけ速く行ったかを表す“効率(スピード)”。
式は → 仕事率(W) = 仕事(J) ÷ 時間(s)
単位はワット(W)。
💡つまり、
同じ量の仕事をしても、短い時間で終えたほうが仕事率は大きくなります。
🔎 例で確認!
- 300Jの仕事を10秒で終える → 仕事率は 300 ÷ 10 = 30W
- 同じ仕事を5秒で終える → 仕事率は 300 ÷ 5 = 60W
どちらも仕事は300Jで同じですが、後者の方が2倍の速さ=仕事率が高いということです。
🎬 最後に 〜がんばる力の使い方〜
👦 ゆうと:「ねぇあかり、今日の“仕事”の話、なんか理科だけのことじゃない気がする。」
👧 あかり:「うん。力を出すだけじゃなくて、どう使うかが大事ってところ、深いよね。」
👦 ゆうと:「俺、いままで“とにかく頑張ればいい”って思ってたけど、
それって“力を出してるだけ”だったのかも。」
👧 あかり:「そうそう。でも、“仕事”ってちゃんと“動かしたとき”に意味があるんだよね。
勉強も、“どう進んだか”が大事なんだ。」
👦 ゆうと:「じゃあ、“仕事率”の高い勉強って、集中して進めることだよね? 曲 聞きながらじゃダメだよね。」
👧 あかり:「うん!“がんばる”って、ただ我慢して続けることじゃなくて、
目的に向かって力を正しく使うこと。
それができたら、本当の“仕事をした”って言えるんだと思う。」
👦 ゆうと:「なんか…今日の話、ちょっと感動なだ。」
👧 あかり:「ふふっ。感動してくれてありがとう。
でもね、ゆうと。勉強も人生も、“効率”よりも“気持ち”が大事なときもあるんだよ。」
👦 ゆうと:「……なるほど。じゃあ俺、
“本気で”、今日からやるよ!」
👧 あかり:「いいね! そのやる気、100ジュール以上!」
力の出し方を知ることは、“がんばり方”を知ること。
これまで努力してきた君の“力”は、必ず動きを生み出します。
それが、次の成長につながる“本当の仕事”です。🌟

