「3:5と6:10は同じ比です」
学校ではこう習います。
すると子どもは、
「え? 数字が違うのに、なんで同じなの?」
となることがあります。
これも、とても自然な疑問です。
3と5。
6と10。
見た目はまったく違います。
でも、比で大切なのは、数字そのものではなく、2つの量の関係です。
3:5と6:10は、前も後ろも同じように2倍になっているだけで、関係は変わっていません。
今回は、パパ・ママが家庭で教えるときに使いやすいように、「等しい比は、なぜ等しいのか」を、図と具体例で整理します。

まずは、3こ分と5こ分を思い出そう
第1回で、
3:5
は、
3こ分と5こ分
と考えました。
たとえば、
前
□□□
後ろ
□□□□□
です。
これが3:5です。
では、この「3こ分と5こ分のセット」を、もう1セット増やしてみます。
前
□□□|□□□
後ろ
□□□□□|□□□□□
すると、
前は6こ分。
後ろは10こ分。
つまり、
6:10
になります。
ここで大切なのは、
3こ分と5こ分の「セット」が2つになっただけ
ということです。
ただ数が増えたのではありません。
3と5のバランスをそのままに、セット全体が2倍になった
のです。
だから、
3:5=6:10
なのです。

「同じ比」は、“同じ数字”ではなく“同じ関係”
ここが今回いちばん大切です。
等しい比=数字が同じ
という意味ではありません。
等しい比=2つの量の関係が同じ
という意味です。
3:5を両方2倍すると、
6:10
になります。
両方3倍すると、
9:15
です。
つまり、
3:5=6:10=9:15
です。
数字は全部違います。
でも、前と後ろのバランスは同じです。
だから、等しい比なのです。
飲み物で考えると、もっと分かりやすい
たとえば、
原液2杯と水5杯
で作る飲み物を考えます。
1回分なら、
原液2杯
水5杯
です。
2倍作るなら、
原液4杯
水10杯
です。
さらに3倍作るなら、
原液6杯
水15杯
です。
量は増えました。
でも、味の濃さは変わりません。
なぜなら、原液と水を同じ割合で増やしているからです。
2:5
4:10
6:15
どれも、同じバランスです。
これが「等しい比」です。
パパ・ママは「味、変わった?」と聞いてみる
等しい比を教えるとき、
「両方に同じ数をかけるんだよ」
と最初からルールを教えるより、具体例で聞いた方が分かりやすいです。
たとえば、
「原液2杯と水5杯を、両方2倍したら味は変わる?」
と聞きます。
「変わらない」
となったら、
「じゃあ、2:5と4:10は同じ関係ってことだね」
とつなげます。
これなら、
“同じ数をかける”という作業の意味
が見えてきます。

なぜ両方に同じ数をかけていいの?
3:5を2倍して、
6:10
にする。
これは、
3だけを2倍しているわけではありません。
5だけを2倍しているわけでもありません。
前も後ろも同じように変えている
から、関係が変わらないのです。
3×2=6
5×2=10
だから、
3:5=6:10
になります。
逆に、
3:5を
6:15
にしたらどうでしょう。
3→6 は2倍。
5→15 は3倍。
変え方がそろっていません。
だから、
3:5と6:15は同じ比ではありません。
実はこれ、分数とまったく同じです
ここで、パパ・ママ向けに一つ種明かしです。
この考え方は、5年生で習った分数の性質とまったく同じです。
3/5の分母と分子を両方2倍すると、
6/10
になります。
でも、
3/5=6/10
ですよね。
分母と分子を両方同じ数倍しても、分数の大きさは変わりません。
比も同じです。
3:5の両方を2倍すると、
6:10。
でも関係は変わらないので、
3:5=6:10
です。
つまり、
比も分数も、「両方を同じように変えると関係は変わらない」
という同じ考え方を使っています。
ここがつながると、
「新しいルールをまた覚える」
ではなく、
「あ、分数と同じことをしているんだ」
と理解しやすくなります。
わるときも、分数の「約分」と同じ
等しい比は、かけるときだけではありません。
たとえば、
6:10
を両方2でわると、
3:5
になります。
これも、前と後ろを同じように2でわっているので、関係は変わりません。
そして、これは分数でいうと、
6/10を2で約分して、
3/5
にするのと同じです。
つまり、
比を簡単にするのは、分数でいう「約分」と同じ感覚
です。
そして、なぜわざわざ簡単にするのか。
分数も、約分して数字を小さくした方が、そのあとの計算がしやすくなりますよね。
比も同じです。
できるだけ小さな整数のセットにしておくと、関係が見やすくなり、そのあとの問題もずっと解きやすくなります。
6:10
→ 両方÷2
→ 3:5
6/10
→ 約分
→ 3/5
やっていることは、ほとんど同じです。

第3回の「比の値」ともつながっています
ここで、前回の内容につながります。
3:5の比の値は、
3÷5=3/5
でした。
6:10の比の値は、
6÷10=6/10=3/5
です。
同じですね。
つまり、
等しい比は、比の値も同じ
です。
これも、3:5と6:10が同じ関係を表している証拠です。
そして、この比の値は、テストで迷ったときの確かめ方としても使えます。
たとえば、
「3:5と6:10って、本当に等しい比かな?」
と迷ったら、
3:5 → 3/5
6:10 → 6/10 → 3/5
と、両方を比の値にしてみます。
同じ分数になれば、等しい比。
つまり比の値は、
「これ、本当に同じ比?」と迷ったときの検算にも使える便利な道具
なのです。
「等しい比」を知ると、何が便利なの?
等しい比が分かると、比を使った問題が一気に解きやすくなります。
たとえば、
3:5=6:□
とあったとき、
3→6 は2倍。
だから5も2倍して、
□=10
と考えられます。
これは、
関係を保ったまま、数字を変えている
ということです。
つまり等しい比は、
「同じ関係のまま、扱いやすい数字に変える方法」
です。
この考え方は、この先の比例や比例式にもつながっていきます。
パパ・ママが家で使える3つの声かけ
1.「前と後ろ、同じように変わってる?」
3→6 は2倍。
5→10 も2倍。
だから同じ比です。
2.「3:5のセットが何セットになった?」
3:5が2セットなら、
6:10。
「数が増えた」ではなく、同じセットが増えたと見ると分かりやすくなります。
3.「分数に直して約分したら、同じになる?」
3:5なら3/5。
6:10なら6/10。
6/10を約分すると3/5です。
同じ分数になるなら、同じ関係
だと確認できます。
まとめ|等しい比は「同じ関係」
等しい比でいちばん大切なのは、
数字が同じかどうか
ではありません。
見るのは、
前と後ろの関係が同じかどうか
です。
3:5
を両方2倍すると、
6:10。
両方3倍すると、
9:15。
どれも同じ関係です。
だから、
3:5=6:10=9:15
となります。
そして、分数(比の値)で見れば、
3/5=6/10=9/15
です。
比も分数も、
両方を同じように変えると、関係は変わらない。
ここが分かれば、「等しい比」は新しく覚えるルールではなくなります。

お子さんが、
「数字が違うのに、なんで同じなの?」
と聞いたら、
まず、
「3:5のセットが何セットになった?」
と聞いてみてください。
そして、もう一歩進めるなら、
「分数(比の値)にしたらどうなる?」
と聞いてみる。
3:5と6:10。
見た目の数字は違っても、
中身の関係は同じ。
ここが分かれば、比の4本シリーズがきれいにつながります。
比シリーズ
第1回
え、なんで足すの? 小6算数「比」でつまずく子に教えたい魔法の言葉|パパママ算数教室
第2回
「3:5だから3/5でしょ?」は間違い!小6算数「比」と「割合」の違い|パパ・ママのための算数教室
第3回
「3:5は3/5じゃないって言ったのに!」小6算数「比の値」はなぜわるの?|パパ・ママのための算数教室

