「3:5だから、3たす5で8だよ」
大人には当たり前に見えるこの説明で、止まる子がいます。
「え、なんで足すの?」
ここで手が止まるなら、少し注意が必要です。
というのも、比はこの先、割合・速さ・比例、そして中学の方程式や関数にもつながる大事な考え方だからです。
ここで「とりあえず数字を足して、全体で割ればいいんでしょ」と作業として覚えてしまうと、少し問題がひねられたときに、手も足も出なくなりやすいのです。
比で本当に大切なのは、
「3と5を足す」ことではありません。
大切なのは、
「3こ分と5こ分を合わせると、全部で8こ分になる」
と考えられることです。
今回は、パパ・ママが家で教えるときに役立つ、「比のいちばん最初の壁」の越え方を、できるだけやさしく整理します。

まず知ってほしいこと|3:5の「3」と「5」は、何の数?
たとえば、
兄と弟でお金を3:5に分ける
という問題があります。
ここで、子どもが最初につまずきやすいのは、
3と5を“そのままの数”だと思ってしまうことです。
でも、比の3と5は、
- 3円と5円
- 3個と5個
- 3人と5人
を、そのまま表しているわけではありません。
比の3と5が表しているのは、
「同じ大きさの何こ分か」
です。
つまり、
- 兄は 3こ分
- 弟は 5こ分
という意味です。
ここが見えないと、
「なんで3と5を足していいの?」
になります。
逆に、ここが見えると、比は一気に分かりやすくなります。
「なんで足すの?」には、箱で答えるのがいちばん早い
子どもに説明するときは、数字だけで話さない方がうまくいきます。
まず、箱を描いてみてください。
兄は3こ分なので、
□ □ □
弟は5こ分なので、
□ □ □ □ □
と描きます。
ここで聞いてみてください。
「全部で箱はいくつある?」
すると、
3こ+5こ=8こ
です。
つまり、
3:5だから8になるのではありません。
正確には、
3こ分と5こ分を合わせるから、全部で8こ分になる
のです。
この「8こ分」が見えれば、子どもはかなり安心します。

最初は「暗算できる数字」で教えるのがコツです
比を習い始めたばかりの子に、いきなり
1万円を3:5で分ける
と出すと、比の考え方の前に、計算の方へ意識が取られてしまうことがあります。
ですから最初は、暗算しやすい数字でやるのがおすすめです。
たとえば、
クッキー40個を3:5で分ける
ならどうでしょう。
3こ分+5こ分で、
全部で8こ分
です。
40個を8こ分に分けるので、
40÷8=5
1こ分=5個
です。
すると、
- 兄は3こ分 → 5×3=15個
- 弟は5こ分 → 5×5=25個
となります。
この問題のよいところは、
40÷8=5 がすぐ出せるので、子どもが
「あ、比ってこういうことか」
と考え方に集中しやすいことです。
最初の1問は、これくらいのやさしさがちょうどいいです。

次に、おこづかい4,000円でやってみる
クッキーで考え方が分かったら、次は少しだけ抽象度を上げてみます。
おこづかい4,000円を3:5で分ける
この問題でも考え方は同じです。
3こ分+5こ分で、
全部で8こ分
です。
4,000÷8=500
だから、
1こ分=500円
です。
すると、
- 兄は3こ分 → 500×3=1,500円
- 弟は5こ分 → 500×5=2,500円
となります。
ここで子どもに見てほしいのは、
クッキー40個でも、おこづかい4,000円でも、
やっていることは同じ
だということです。
つまり、
比 → 全部で何こ分か → 1こ分を出す → それぞれを出す
この流れが、比の基本です。

パパ・ママが家で教えるとき、「3たす5だよ」で終わらせない
子どもが
「なんで8になるの?」
と聞いたとき、つい
「3たす5だから」
と答えたくなります。
もちろん間違いではありません。
でも、それだけだと、子どもの中で意味がつながらないことがあります。
そんなときは、こう聞いてみてください。
声かけの順番
- 「兄は何こ分?」
→ 3こ分 - 「弟は何こ分?」
→ 5こ分 - 「じゃあ、二人合わせると何こ分?」
→ 8こ分
この順番なら、子どもは自分で8を見つけることができます。
大事なのは、
「3+5=8」を覚えることではなく、何を足しているのかが分かっていること
です。
比は、子どもにとって少し抽象的です
比は、大人が思うより少し難しい単元です。
たとえば、
- りんごが3個
- えんぴつが5本
なら、3や5は目で見えます。
でも、
3:5
になると、その3と5は目の前にある物そのものではありません。
関係だけを取り出した数字
です。
ここが、子どもには少し抽象的です。
だからこそ、最初は
- 箱を描く
- 線で表す
- クッキーやおこづかいで考える
など、見える世界に戻してあげるのが大切です。
「比って便利だな」と本当に分かるのは、少しあとでも大丈夫です。
まずは、
3こ分と5こ分
という感覚をつかめれば十分です。
「なんで8でわるの?」にも、きちんと意味があります
もう一つ、子どもがよく聞くのが、
「なんで全部を8でわるの?」
です。
これも、ただのルールではありません。
40個でも4,000円でも、全部で8こ分に分かれています。
だから、1こ分を出すために、全体を8でわるのです。
- 40÷8=5
- 4,000÷8=500
この「わる」は、
1こ分を出すためのわり算
です。
ここまで意味が分かると、ただ手順をなぞっているのではなく、
自分で比を使って考えている状態に近づきます。
家庭で使える3つの声かけ
パパ・ママが家で教えるときは、次の3つを意識するとかなりうまくいきます。
1.「この3と5は、何の数?」
金額そのものではなく、
何こ分か
を表していることに気づかせます。
2.「全部で何こ分?」
3こ分+5こ分で、
8こ分
です。
3.「じゃあ、1こ分はいくつ?」
全体を8こ分で分けて、
1こ分
を出します。
この3つを順番に聞くだけで、子どもの理解はかなり変わります。
まとめ|今日から家庭でやる3つだけ
1.最初は暗算できる数字でやる
いきなり難しい金額ではなく、
- クッキー40個
- おこづかい4,000円
のように、1こ分がすぐ出る問題から始めます。
2.「3:5」を見たら、「3こ分・5こ分」と言いかえる
数字のままではなく、
同じ大きさの何こ分か
に直して考えます。
3.分からなくなったら、箱を描く
□を3つ、□を5つ。
比をいったん見える形に戻すと、理解しやすくなります。

比を習い始めた子に、最初に聞くならこれです。
「3:5の3と5って、何の数?」
ここで
「3こ分と5こ分」
と答えられたら、比のいちばん大事な入口は、かなり見えています。
比シリーズ
第2回
「3:5だから3/5でしょ?」は間違い!小6算数「比」と「割合」の違い|パパ・ママのための算数教室

