こんにちは。山口です。
先日、ある中1のお母さんと話す機会がありました。
お母さんは、「もっと頑張らせたい」「理科や社会もやった方がいいのでは」とお考えのようでした。
基本的には早くからやった方がいいことは間違いありません。でも、まだ時間がある時期だからこそ、こんな働きかけをしておいた方が、後半での頑張りが、より力強いものになりますよという話をしました。
いつも、お話しているように、中1でのポイントは2つです。
①数学で、算数の理解内容を数学用に組み直せるか(中1秋まで)
②英語の基礎の基礎を完全に身につけられるか(中1の秋~冬)
今の時期は、①がほぼ決着して、今まさに②の最中です。
だから、目先の話では、今は②に全力をあげることが第一。さて、問題は次です。
数年前、こんなことがありました。正直、どうしてあげることがベストだったのかと今でも苦しんでいます。
主人公は、中3の女の子です。12月の受験校を最終決定する面談で、「どうしてもお姉ちゃんと同じ高校に行きたい」とかなり強気な決定をしました。
これから、あと偏差値で+4ぐらい上げないと合格できません。不可能ではない数字ですが、この時期は回りも本気でやっていますから、かなりきつい数字です。
学校に提出する直前まで迷いに迷って、定期面談のほかに、本人とお父さんもお母さんも参加してさらに2回の面談を重ねて、「よし。勝負しよう」と言うことになりました。
その5日後ぐらいだったでしょうか、5歳年上のお姉ちゃんが、東京での就職が決まりました。
そしたら、今年は、家族全員がそろう最後のクリスマスになるかもしれないと言うことで、天皇誕生日に家族で1泊旅行に行くことになりました。
ご両親は、1日ぐらいだし、すぐに取り戻せるだろうと考えたそうです。
ところが、もう何日も前から、ワクワクしてやるべきことはしなくなる。「何やっているの?」とたずねると、旅行に行った先での、遊ぶところの下調べとかクリスマス会での出し物とか。
「そんなの、お姉ちゃんにやってもらえ」と言うと、「お姉ちゃんはそう言うことまったくできない人なの。いつも、私がやっている」と。たしかに、お姉ちゃんも教えていたのでよくわかる。
「だけど、お前、今 そんな事やっている時なの」と問うと、目にいっぱい涙をためて、「家族旅行だからしょうがない」言い訳ではなくて、本気でそう考えている様子。
旅行から帰ってきたあとも、興奮冷めやらず。 勉強に手が回らない。旅行の写真をアルバムにして、お姉ちゃんにプレゼントするとか。
この子がロスしたのは、たった1日ではなくて、1週間分以上にはなるでしょう。第3エンジン点火。重力圏(不合格圏)脱出のはずの冬期の授業が、締め直しに終始する時間になってしまいました。
痛恨の出来事です。どうしてあげるのが一番良かったのか。 本当に、今でも悩みます。
ここまで強烈な例は、多くはありませんが、同根の問題はそのあたりにゴロゴロしています。「○○だからしょうがない」。例えば、宿題をやってこないとき、「忙しいからしょうがない」
これって、【やりたいことをやって、もしも時間が余れば、宿題でもやるか】って考え方から出ていますよね。【やらないといけないことは、やりくりしてなんとか都合をつけてやる】とは考えていませんよね。
一方で、こんな子もいます。例えば、今週の土曜日は家の都合(例えば法事とか)で休む。だから、多く準備してきたとか、今日は残って土曜日の分までやっていく、と言う子たちです。
何が違うのでしょうか?
きっと、その子の中での優先順位が違うのだと思います。価値観の違いと言ってもいいと思います。
なぜ勉強するのか? なぜ受験するのか? なせ○○高校なのか?
その答えを持っている子とそうでない子の差のように感じます。
もっともその答えとは、笑ってしまう程の理由だったりもします。それでも、その理由が本人を突き動かすのであれば、他人があれこれ口出ししても何の意味もありません。
よく聞く制服がかわいいでも、それで懸命になれるなら、それだっていいわけです。
以前、ここで、こんな子を紹介したことがあります。ある男の子ですが、中2の時に、自分の誕生日が、織田信長の誕生日を同じと知って、「オレには、世の中を変える力がある」とか言い出して頑張った子がいました。慶応大学に行きました。
それって本当なの? 昔の暦と今の暦はちがうでしょうなんて、その子にはどうでもいいこと。それで頑張った事が、彼の力になり、彼を育てたことに間違いはありません。
何がどう心に響くのかはまったくわかりません。良かれと思ってやっても何の反応もないことが普通です。
でも、何気なく言ったことが、本人の心を大きくゆり動かすことが、あるのもまた事実です。
1000回 言ってみた。 何の興味も示さなかった。じゃぁ、 次の1001回目で新たな反応があるかも知れないと、また別な何かをぶつけてみる。 その繰り返しです。
もしかしたら、ただの確率とタイミングの問題かもしれません。もしかしたら、親御さんの隠された意思が、以心伝心、いつか知らぬ間に伝わるのかもしれません。
「中3のその時が来たらやるだろう」と期待したいですが、その期待は十中、八九、空振りに終わります。
種を蒔いて、肥料を上げて、水をやっていなければ、春になっても、芽は出てこないものです。
その中1のお母さんに言いたかったことは、このことです。今、1年生でここまで順調に進んできているので、今、目先の事で、急ぐ緊急性はありません。
ないからこそ、いろいろな刺激をぶつけてみましょう。何でもかまわないのですが、そういわれても困るので、さし当たってニュースがいいと思います。
世の中で、何が起こっているのか? その何が問題なのか? どう自分と関係があるのか?
その答えも、自分なりの答えでいいのです。 池上 彰さんの解説と異なろうが、それが、○○家の考え方・価値観です。その方が、子どもと共有できるものが広がるはずです。
難しく考えることはありません。一緒に考えようでOK。 その中に、お父さん お母さんのこんな子になってほしいとの思いを込めて、「お父さんはこう考える」「お母さんはこう思う」をぶつけて下さい。子どもは、きっと反応するようになります。そして、中3になってから強いのもこのタイプです。
◆鶴ヶ谷教室 ☎252-0998
989-0824 宮城野区鶴ヶ谷4-3-1
◆幸 町 教室 ☎295-3303
983-0836 宮城野区幸町3-4-19
電話でのお問合せ AM10:30~PM22:30