こんにちは。山口です。
<今回は話は、仮名で書いてあります。> お母さんが家出
授業が始まっているのに歩美がまだ来ていません。電話してみました。
先生 : もしもし、歩美? どうした? 今、授業の時間だよ。どうして まだ、家にいるの?
歩美 : はい。 あの~。 いいえ。
先生 : どうしたの。 今日はお休み?
歩美 : あの~。
先生 : どうした? 具合悪いの?
歩美 : 違います。 あの~、 お母さん、いなくなっちゃったんです。
先生 : 何? いなくなったってどういうこと。
歩美 : 昨日の夕方、お母さんとけんかして、お母さん、出ていっちゃって、帰ってこないんです。
先生 : 今、家に誰がいるの?
歩美 : お姉ちゃんがいます。 お父さんはまだ帰ってきていません。
先生 : そうなんだ。お母さんの携帯の番号教えてくれる?
歩美 : はい。いいですけど、でも、携帯 でないと思います。私も何回もかけたけど…
先生 : 先生もかけてみるから、 じゃ、歩美 今日は、お休みね。明日までに、平成26年の英語と理科の過去問をやってきて。
歩美 : はい。わかりました。
プルプルプル
母 : はい。もしもし。福島です。
先生 : あっ。もしもし。すみません。Max・山口です。 歩美ちゃんのお母さんですよね。 歩美ちゃん、時間になっても来なかったんで家に電話したんです。そしたら本人が出て、お母さんがいなくなったって言うんで驚いて、番号聞いてかけてみました。 一体、どうしちゃったんですか。
母 : いや、お恥ずかしい話で申し訳ありません。 そろそろ先生から連絡くるかなと思って待っていました。 昨日、子どもに「公立、どこにするの」と聞いたんです。今まで何度も話してきたんですけど、いつもあの子、途中で黙っちゃって何も話さなくなってしまうんです。
もう、そんなわけにもいかないから、昨日は、強く言ったんです。そしたら、「親はウザイだけ。話してもしょうがない」って。私も、昨日はもう本当に頭にきて、お友達の家に泊まりにいったんです。
先生 : エッ。そうなんですか。 ずいぶん。思い切ったことしましたね。
母 : そのぐらいやらないと、あの子、わからないんじゃないかと思って。
先生 : あの~。お父さんは、ご存知なんですか。
母 : いいえ。知りません。 歩美はお父さんと話すこと嫌がるし、お父さんも本人の行きたいところでいいだろうって。子どもと話してくれって言っても、「本人に決めさせろ」って、私、それにも腹立って。
先生 : そういうことだったんですか。 なるほど、よくわかりました。
母 : そろそろ帰ります。 食事のこともありますから。 でも、先生。 何でも子どもの希望通りにしてきたのに、何が不満なんでしょうかね。 一体、あの子は、何考えているんでしょうか。まったく。お姉ちゃんのときは、こんなことなかったんですけどね。
先生 : そうだったんですか。わかりました。 それじゃ。歩美の方は、私の方で進めていいですか。 この間の面談で相談した方向で。
母 : はい。お願いします。 あの子、先生の言うことは、よく聞きますから、先生からアドバイスしてやって下さい。
先生 : わかりました。
最近は 特に、子どもが、最終段階で、親をシャットアウトしてしまうケースが、多くなっているように思います。たぶん、こういうことだろうと思います。
「子どもに任せていますから」「子どもの希望で」は、子どもにとってありがたい言葉です。それは、例えば、「中3になったらやる」、「中総体が終わったらやる」が通用しますから。
ところが、その時に来てもエンジンがかからない子どもに、業を煮やして何か言えば、子どもの方は、エッ? 俺の自由なんじゃないの? 何だ? 親は急にやかましくなったぞ。どうしてダメなんだ。 今まではよかったのにムカつく。ウザイ。
親の方からすると、「受験なんだからあたり前でしょ」ですが、よくよく見てみると、子どもがその「当たり前」のところにいなかったと言う感じなのです。
こんなケースもあります。 子どもがようやく、子どもなりに真剣に考えるようになった。そしたら、【世の中】のことが何もわからないことに気がついた。「どうするの?」って言われたって、どうすればいいの? どうやってきめればいいの? 不安、不安、不安。 「自分できめろ」って、うちの親は何もしてくれない。こんな感じなのです。
口では生意気言うから、同じ土俵の上にいたつもりだったのに……、 違う土俵にいたんですね。
15歳の高校受験の成功は、この差をうめていった先にあります。生意気言うようになりましたが、実は、まだまだ子どもで、見えている世界も小学生とあまり変わっていないし、自分で自分をコントロールすることもままならないんです。生意気言っていますが、その点を理解して、やれるように段取りしてあげないとなかなかうまくできないんです。
この点が、高校入試が、他の入試と大きく異なる点です。 大学入試は本人の問題、中学入試は親がガンガン引っ張っていけばいい。でも、高校入試は親子の合力を作らないと上手くいかないのです。
高校入試は団体戦、 大学入試は個人戦といったイメージで見てもらえれば、いいのではと思います。
翌日。
先生 : 歩美。 今日は来たか。 お母さん、大丈夫?
歩美 : ハイ。 すみませんでした。 あの後、帰って来ました。
先生 : よかったね。 安心した?
歩美 : ハイ。 あのまま帰って来なかったら…。
先生 : ところで、受験校どうする? それじゃ、相談できてないよね。
歩美 : 一昨日、その話から喧嘩になったんです。
先生 : そうなんだ。 何? 歩美と親の希望が、全然、違うの?
歩美 : そういうわけじゃないんです。
先生 : じゃ、何で喧嘩になったの?
歩美 : 決めろって言われても、わかんないから、決められないんです。商業に行ったら将来どうなるのか、普通科と何が違うのか、普通科に行って就職するのは不利なのかとか、教えてほしいのに、「自分で考えろ」とか「好きな所でいいから」とかしか言わないから、話してもしょうがない。
先生 : この間、3年後は就職って言っていたよね。今もそう思っている?
歩美 : はい。
先生 : どうして就職したいの。
歩美 : もう勉強しなくていいでしょう。
先生 : なるほど。 そう思っているのね。 やりたい仕事はあるの?
歩美 : 店員さんとか?
先生 : 何の?
歩美 : 洋服とか。
先生 : なるほど。 歩美 おしゃれだもんな。
歩美 : えー。 わかる?
先生 : ところで、3年になって今まですごく頑張ってきたじゃない。夏休みも長い時間頑張ったし。
歩美 : あんなに勉強したの 始めて。
先生 : そうだね。 その後も、テスト前は、土日は平日以上に、長い時間やったよね。
歩美 : ウン。
先生 : みんな、日曜も呼ぶと、ブーブー文句言ってたけど、こっちだって大変な時もあったんだぞ。
歩美 : そうだよね。 奥さんとかに文句言われる?
先生 : そういう時もあった。 だけど、みんなの成績上げようとやってきたわけだ。
歩美 : それは感謝してる。 すごい上がったし。
先生 : でな、 卒業に向けて、最後に先生を安心させてほしい訳だ。 高校でもちゃんとやっていけるって所を見せて、安心させてから卒業して。そうすれば、先生も文句言われていたけど、歩美を教えてきてよかったって思えるじゃん。
歩美 : ほんとう?
先生 : 本当。 もう一つ思うんだけど、歩美はたぶん将来、大学に行きたいって思うと思うの。
歩美 : 私が? 何でわかるの?
先生 : それは、今までの経験。
歩美 : ウーム。 そうなんだ。
先生 : だから、高校3年のときに、就職で不利にならなくて、もし、希望が変わって大学に行ってみようかなと思ったときにも、その可能性が高いのは、一番先に希望していた高校だと思うよ。
歩美 : やっぱり~。
先生 : ウン。 歩美 途中、高校見学に行ったりして、迷ったみたいだけど最初の通りが一番いいと思う。
歩美 : 受かるかな。
先生 : 頑張れば大丈夫。
歩美 : 落ちたら嫌だって不安なんです。
先生 : そんなのみんな一緒。 不安だから、頑張るんだよ。 あの先輩達のやったルーズリーフの写真みてみろ。 不安だから、もう大丈夫って思えるまでやった結果があのルーズリーフの写真だぞ。 それ以外に、不安から逃れる方法はない。 大丈夫。合格させてやるから。
歩美 : ウン。 先生、明日まで時間ください。 決めてきますから。
3年後。
母 : 先生。 あの時は、本当にありがとうございました。おかげ様で、大学のAO入試で合格の通知をいただきました。
先生 : おめでとうございます。 よかったですね。 私もうれしいです。
母 : あの時、アドバイスしてもらって本当に助かりました。先生に「あの子はきっと大学行きたい」と言い出すと思いますからと言われたときはビックリしたんです。 それまでは、就職すると言っていたので。
先生 : 就職したという訳じゃないなって思ったんです。 今、辛いからって理由ですかね。
母 : 先生、あの時、歩美にどう話したんですか。
先生 : 別に特別なことは。
母 : 歩美もそう言うんですよ。
先生 : 歩美は歴代の先輩たちから続くチームMaxのメンバーだよな。 チームの伝統を汚すなってことを言っただけですよ。
中3生、口では一人前のことを言うようになりましたが、本当に大人になった訳ではないんです。だから、自分のために頑張るってことが、意外や意外、難しいんです。どうしても楽な方に行ってしまうんです。
ところが、一緒にいてあげると、思っていた以上に頑張れるのです。それがマックスのテスト対策が長い本当の理由です。それは長丁場の入試でも同じことです。さらに、「気持ち」に応えるという頑張る理由を見つけてあげるとよりパワーを発揮します。そんな伝統をもつチームマックスです。
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