このブログシリーズでは、小学生がつまずきやすい算数の単元をテーマに、ご家庭でも実践できる教え方のヒントや、考える力が育つ声かけの工夫を紹介しています。
どれもマックスの算数教室で実際に使っている考え方・説明の仕方ばかりですので、「家で教えるときにどうすればいいの?」という保護者の方にも安心して活用いただけます。
「計算のルールを覚える」だけでなく、「意味を理解して、使える力にしていく」ことが、この時期の算数ではとても大切です。
お子さんの「できた!」「わかった!」を引き出すヒントがきっと見つかります。
小数のかけ算が未来の差になる!?
~今こそ身につけたい「本当の理解力」~
小数のかけ算に入ると、子どもたちから「筆算はできるけど、どこに小数点を打てばいいのか迷う」といった声がよく聞かれます。一見できているように見えて、実は“あやふやなまま進んでしまう”ことも多い単元です。
でも実は、この単元はただの計算ではなく、“先を伸ばせる子”を育てる大事な分岐点でもあるのです。
◆ 計算は、スラスラできて初めて“できる”
まず大切なのは、「スラスラ計算できる」こと。
「時間をかければできる」は、まだ道の途中です。
小数の筆算では、次の手順をしっかり身につけておきましょう:
- 小数点をいったん無視して、整数と同じように計算する
- 小数点以下の「けた数の合計」だけ、右から数えて小数点を打つ
例:

◆ 言葉の意味にも慣れておくと、強い
そろそろ教科書で使われる言葉も日常語とは違ってきます。
「かける数」「かけられる数」「小数点以下のけた数の和」など、今後の学習で繰り返し使われる表現に、自然と触れておくことが大切です。
こうした言葉に違和感なくなじむことも、学力の土台づくりの一部なのです。
◆ 式を“見て考える力”が、大きな差に
例:4.2 × 3.7 + 5.8 × 3.7
多くの子はそのまま2回計算しようとしますが、まとめて考えると:
(4.2 + 5.8)× 3.7 = 10 × 3.7 = 37
今すぐ使えなくても、「こういう考え方もあるんだ」と知っておくだけで、
将来の学力にしっかりつながっていきます。
◆ 図でイメージすると一気に理解が深まる
例:2 × 7 + 4 × 7
これを図でイメージすると:
-021.jpg)
→ 合わせると、6人に7個ずつ。
→ 2 × 7 + 4 × 7
=(2 + 4)× 7
= 6 × 7
= 42
この「まとめて考える」視点は、中学の因数分解にもつながる大切な力です。
◆ 面積の応用問題でも差が出る!
半径12cmと3cmの円の面積の和
普通に計算すると:
12×12×3.14 + 3×3×3.14
でも、まとめると:
= (144+9)× 3.14 = 153 × 3.14
×3.14を1回にするだけで、速く・正確に・ミスも減らせます。
◆ 数の感覚が未来を分ける
38 × 52 = 1976 のとき、3.8 × 520 は?
3.8は38の小数を1けた下げた(1/10倍した)、520は52を10倍した。
→ 計算結果は変わらない。
→ 答えは 1976
このように「数の構造を見抜く力」がある子は、
中学以降も数式を“意味で考える”ことができます。
◆ 今はまだ差が見えないからこそ、大事
テストでは、普通に筆算しても正解になることがあるため、
こうした「考える力」の差が表に出ないことがあります。
でも、先々の学びではその差がどんどん広がっていきます。
◆ 「考える力」も育てましょう。
計算の正確さだけでなく、
「どう考えれば速くて安全か?」「何を見て気づくか?」という視点も重視して指導してください。
ご家庭でも、ぜひこんな声かけをしてみてください:
- 「この式、まとめて考えられないかな?」
- 「かけ算、1回でできるかも?」
こうした小さな習慣が、お子さんの“考える力”を大きく育ててくれます。